アスペルガー症候群は、自閉症スペクトラム障害(ASD)の一種で、知的障がいのない人が発症する発達障害です。
社会性やコミュニケーションの障害、こだわりの強さ、感覚過敏などが主な特徴です。
アスペルガー症候群は、本人だけでなく家族や周囲の人も理解と配慮が必要な障害です。
この記事では、アスペルガー症候群の基本的な特徴や接し方のポイントを解説していきます。
アスペルガー症候群の人は、相手の気持ちや意図を理解することが苦手で、相手の表情や言葉のニュアンスに気づきにくい傾向があります。
また、自分の気持ちを言葉で表現するのが苦手で、言いたいことが伝わらずに誤解されることも多いです。
同じアスペルガー症候群でも、特性は一人ひとり異なります。
アスペルガー症候群を含む自閉症スペクトラムの方は、人口の約1~5%程度と推定されています。
厚生労働省のe-ヘルスネットでは、自閉スペクトラム症の人は約100人に1人いると報告されています。
男性の方が多く、女性の約4倍の割合でみられます。
参照:e-ヘルスネット「ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)について」
アスペルガー症候群は、知的発達や言語発達において明らかな遅れがありません。
幼少期からコミュニケーションにおける課題が存在しても、その発達的な特性が認識されにくい場合があります。
言語能力が一般的な人と変わらないため、表面的なコミュニケーションは取れます。
学力的にも特に問題が生じていない場合が多いため、周囲からその特性が見えにくい場合があります。
そのため、大人になってからアスペルガー症候群と診断される方も少なくありません。
アスペルガー症候群の原因は、遺伝的要因が大きく関与していると考えられていますが、まだ完全には解明されていません。
遺伝子異常があっても必ずアスペルガー症候群になるわけではなく、アスペルガー症候群の人は遺伝子異常がある人とない人がいます。
また、胎児期や出生後の環境要因も影響していると考えられています。
たとえば、胎児期のウイルス感染や、出産時の窒息などのトラブルがアスペルガー症候群の発症につながる可能性があります。
アスペルガー症候群の原因は、遺伝的要因と環境要因の両方が複雑に絡み合って発症していると考えられています。
アスペルガー症候群は、知的発達や言語発達の遅れがないにもかかわらず、コミュニケーションや対人関係に困難を示す発達障害です。
アスペルガー症候群の特徴は、大きく分けて以下の5つが挙げられます。
アスペルガー症候群の人の特徴を理解し、適切な支援や環境を整えることでより充実した生活を送ることができます。
それぞれ詳しく紹介していきます。
アスペルガー症候群の人は、相手の気持ちや意図を理解するのが苦手です。
そのため、相手の表情や仕草を読み取ることができず、会話が弾まないことがあります。
また、自分の気持ちや考えをうまく伝えることも苦手です。
アスペルガー症候群の人は、特定の物事やことに強いこだわりを持つことがあります。
興味のある対象には高い集中力と記憶力を発揮し、他のことに注意が向きにくくなる傾向があります。
興味を持った分野においては深い知識やスキルを発展させることができる一方、他のことに対しては無関心であることがよくあります。
アスペルガー症候群の人は、自分の決めたルールにこだわりを持つことがあります。
そのため、ルールやパターンが崩れると、不安や不快感を感じたりパニックを起こしたりすることがあります。
感覚過敏はアスペルガー症候群の一般的な特徴の一つで、光、音、触覚などの刺激に対して非常に敏感なことがあります。
周囲の刺激に強く反応し、過度の刺激がストレスを引き起こすことがあります。
アスペルガー症候群の人は、動作がぎこちなく運動が苦手な場合があります。
また、不器用で、ものを落としたり、ぶつけたりすることがよくあります。
体を動かすことが苦手なため、運動やスポーツに参加することが難しいことがあります。
アスペルガー症候群の方は、コミュニケーションや対人関係に難しさを感じることがあります。
そのため、自分のことを理解してサポートしてくれる人の存在が、本人の生活や社会参加を円滑にするために大切です。
具体的にどのように接したらいいのかを紹介します。
空間や時間の把握が難しいお子さまは、目で見て視覚的に理解することが得意です。
イラストや写真を使って手順やスケジュールを視覚的にわかりやすくしたり、空間を目的別に分けて、どこに何があるか一目でわかるようにしたりすることで、行動しやすくなることがあります。
言葉だけではなく図や絵を使って情報を伝えることで、お子さまがより理解しやすくなります。
アスペルガー症候群のお子さまは、言葉の意味を捉えるのが苦手なことがあります。
あいまいで抽象的な伝え方だと意図が伝わりにくく、行動を起こすことが難しくなります。
抽象的な指示ではなく、具体的な行動やステップを示すことで、お子さまは課題やタスクをより効果的に実行できるでしょう。
たとえば、「しっかり片づけて」ではなく、「おもちゃを箱に入れて」と具体的に伝えると、何をすればよいのかが明確になります。
また、「走らない」ではなく、「歩こう」と肯定的に伝えると、行動を起こしやすくなり、理由を説明することで指示の意図を理解しやすくなります。
口で伝えるだけのコミュニケーションでは、相手が話を聞いていなかったり、注意が他に向いていたりすることがあることがあります。
そのため、お子さまに何かを伝える際は、注意を引いてから伝えることが効果的です。
肩を叩いたり、名前を読んだり、興味を引く要素を取り入れ、その後にメッセージや指示を伝えるとお子さまの関心を引きやすくなります。
対人コミュニケーションに難しさを感じるのは、どのような行動やコミュニケーションが適切なのかが分かりづらいためです。
関わる側はその子にとって分かりやすい方法で、適切な行動やコミュニケーションを示すことが大切です。
コミュニケーションの障壁を取り除くために、コミュニケーション支援ツールや練習を行いましょう。
アスペルガー症候群は、根本的に治す方法は現在のところありません。
しかし、特定の症状に対しては薬物療法や音楽療法、認知行動療法などが行われることがあります。
薬物療法は、うつ症状や不安、不眠などの症状を抑える効果があります。 音楽療法は、コミュニケーション能力や社会性の発達を促す効果が期待できます。
認知行動療法は、対人関係やコミュニケーションのスキルを身につけることが目的です。
アスペルガー症候群を治療するのではなく、アスペルガー症候群の特性とどう付き合っていくかが重要です。
そのためには、一人ひとりの特性に合った支援や環境整備が必要になります。
アスペルガー症候群の人は、こだわりや興味の強さ、物事の捉え方の違い、コミュニケーションの困難さなど、さまざまな特徴を持っています。
その特徴には個人差があり、一人ひとり異なる特徴があります。
本人や周囲の人々が特性を理解し、試行錯誤しながらよい方法を見つけていくことが大切です。
星ノ学園ユニプレキッズでは、ひとりひとりの発達段階に合わせて支援計画をたて、最適な支援を行います。
ひとりひとりに寄り添い、特性を理解して支援することでお子さまの心を育み、未来につながる可能性をひろげていきます。
お子さまの発達で相談をしたい場合は、ぜひお気軽にお問い合わせください。