ダウン症の寿命は延びている？理由や起こりやすい合併症を解説！

ダウン症は、染色体の異常によって引き起こされる先天性の障害です。 
知的障害や発達障害などの症状を伴うことが多いため、寿命が短いと考えられてきました。 
しかし、近年の医療技術の進歩や社会環境の変化により、ダウン症の人の寿命は大幅に延びています。 
この記事では、なぜダウン症の人の寿命が延びているのか、長生きするためにはどうしたら良いのかを詳しく解説していきます。

ダウン症の人の平均寿命

ダウン症の平均寿命は、近年大幅に延びています。 
厚生労働省の調査によると、1960年代には35歳前後でしたが、2020年には60歳を超えました。

これは先進国で共通の傾向であり、日本も世界に遅れを取ることなく、ダウン症の人の寿命が延びています。 
ただし、ダウン症の人の寿命は個人差が大きく、健康状態や医療ケアによって大きく影響されます。 
そのため、医師との協力や家族のサポートが重要です。

平均寿命が延びている理由

ダウン症の人は先天性心疾患などの合併症を発症することが多いため、合併症の発見と治療が重要です。 
近年の医療技術の進歩により、先天性心疾患などの合併症の早期発見・治療が可能となり、ダウン症の人が健康で長生きできる可能性が高まりました。 

また、社会的な理解と支援が拡大することで、ダウン症の人が健康で長生きできる環境が整います。 
近年ダウン症の人に対する社会的な理解と支援が進み、ダウン症の人がより豊かで充実した生活を送ることができるようになりました。

ダウン症は先天性の疾患

ダウン症は、染色体の異常によって引き起こされる先天性の疾患です。 
通常、ヒトの体細胞は23対46本の染色体で構成されていますが、ダウン症の人は21番染色体が1本多く、21番染色体トリソミーと呼ばれる状態になります。

標準型21トリソミー型

ダウン症の約95％は、標準型21トリソミー型です。 
これは、受精時に卵子や精子が偶然に21番染色体を2本受精することによって起こります。 
この余分な染色体が、身体や知的発達に関する特定の特徴や課題を引き起こします。 

標準型21トリソミー型のダウン症の人は知的障害や発達障害などの症状を伴うことが多いですが、その程度は個人差があります。

モザイク型

ダウン症の約1～3％は、モザイク型です。 
これは体細胞の一部が21番染色体トリソミー型であり、一部が正常な21番染色体を持つ状態です。 
モザイク型のダウン症の人は、標準型21トリソミー型よりも知的障害や発達障害の程度が軽いことが多いです。

転座型

転座型はモザイク型と同じくらいの割合で、ダウン症の約1～3％です。 
これは、21番染色体の一部が他の染色体に付着している状態です。 
転座型のダウン症の人は染色体21番自体は3本存在しないため、標準型21トリソミー型よりも知的障害や発達障害の程度が軽いことが多いです。

ダウン症の人に起こりやすい合併症

ダウン症の人は、先天異常や発達障害などの症状を伴うことが多いため、合併症を発症するリスクが高くなります。 
これらの合併症は、早期発見と治療が重要です。 
早期発見と治療を行うことで、合併症による重篤な症状を防ぐことができます。 

ダウン症の人に起こりやすい合併症には、以下のようなものがあります。

先天性心疾患

ダウン症の人に最も多く見られる合併症です。 
約50％のダウン症の人に先天性心疾患がみられます。 
心室中隔欠損や心房中隔欠損などの心臓弁膜症が代表的な疾患です。 

先天性心疾患は出生直後から発見されることが多いですが、症状が軽い場合は成長に伴って発症することもあります。 
先天性心疾患の治療は、手術や薬物療法などが行われます。

消化器疾患

消化管は口から肛門までの管状器官で、食物の消化・吸収・排泄を担っています。 
その途中が先天的に閉鎖している状態を「消化管閉鎖」といいます。 
消化管閉鎖はダウン症児の合併症としてよくみられ、直腸、肛門、小腸、食道のいずれかで閉鎖が起こることがあります。 

胎児エコーでは小腸閉鎖の診断率は比較的高いですが、食道や直腸・肛門の閉鎖は診断が難しい場合もあります。 
食事や消化に関する問題を引き起こすことがありますが、出生直後に発見され手術で治療が可能です。

血液疾患

白血病や血小板減少症などの疾患がみられます。 
白血病は血液のがんで、血小板減少症は血小板が減少する疾患です。 
治療や定期的な血液検査が必要となることがあります。

眼疾患

斜視や白内障などの疾患がみられます。 
斜視は目の向きがずれる疾患で、白内障は水晶体が濁る疾患です。 
ダウン症児の斜視は、約30％の割合でみられる合併症です。 

主に内斜視が認められ、経過をみて必要な場合手術を行います。 
先天性白内障の頻度は、ダウン症の場合約10倍高いと報告されています。 
しかし、先天性の白内障では手術を必要としないことがほとんどです。

耳鼻科疾患

難聴や滲出性中耳炎などの疾患がみられます。 
難聴は音が聞こえにくい疾患で、滲出性中耳炎は、中耳に炎症が起きて中耳の水がなくなる疾患です。 
ダウン症の難聴は伝音難聴がほとんどです。 

伝音難聴は外耳や中耳の異常によって引き起こされ、小さい音が聞こえにくくなります。 
治療方法は手術や薬物療法が一般的で、治療を受けることで難聴は改善する可能性が高まります。 
必要に応じて補聴器を使用することもあります。 

ダウン症児の難聴の改善例が多く報告されており、長期にわたるフォローアップが非常に重要です。

歯科疾患

歯の発育に遅れが生じることがあり、虫歯や歯周病、歯の異常や歯列不正などの疾患がみられます。 
歯科治療や歯列矯正で改善することができます。

泌尿器疾患

尿路感染症や腎結石などの疾患がみられます。 
尿路感染症は尿路に細菌が感染する疾患で、腎結石は腎臓に結石が形成される疾患です。 
早期発見・治療を行うことで、重篤な症状を防ぐことができます。

整形疾患

股関節脱臼や脊椎弯曲などの疾患がみられます。 
股関節脱臼は股関節の骨がずれる疾患で、脊椎弯曲は背骨が曲がる疾患です。 
姿勢や歩行に問題が発生することがありますが、早期発見・治療を行うことで身体の機能障害を防ぐことができます。

頸椎不安定性

首の骨がずれて、神経を圧迫する疾患です。 
首の痛みや手足のしびれなどの症状を引き起こすことがあります。

ダウン症の健康管理のポイント

ダウン症の人は一般の人よりも病気や障害を発症するリスクが高いため、早期発見・早期治療が重要です。 
具体的な検診の内容は年齢や症状によって異なります。 
医師と相談して、適切な検診を受けるようにしましょう。 

家族や支援者がダウン症の人の健康管理をしっかりサポートすることで、より健康で充実した生活を送ることができます。

ダウン症の子育てに必要な費用

ダウン症の人は一般の人よりも合併症の発症リスクが高いため、医療費がかかる可能性があります。 
先天性心疾患や聴覚障害などの治療費は、高額になることもあります。 
政府や自治体では、ダウン症の子育てを支援するさまざまな制度が用意されています。

これらの制度を活用することで、経済的な負担軽減が可能です。 
支援制度は自治体によって助成内容が異なるため、しっかりと調べ申請の準備をしておくと良いでしょう。

まとめ

ダウン症の寿命は、近年の医療の発展により大きく延びています。 
ダウン症の人が健康で充実した生活を送るためには、家族や支援者のサポートが欠かせません。 

星ノ学園ユニプレキッズでは、ダウン症のお子さまの支援を行っています。 
専門的なスタッフが常駐しており、​一人ひとりの気持ちや主張を尊重しサポートします。 
お子さまの発達や成長に不安がある場合は、ぜひお気軽にご相談ください。

https://welfare.bancor.co.jp/